人気ブログランキング | 話題のタグを見る

【堀文子】「群れない、慣れない、頼らない」   

2011年 12月 30日
【堀文子】「群れない、慣れない、頼らない」生き方を貫き通し、
93歳になった今も情熱とチャレンジ精神で新作に挑む
日本画家・堀文子。


〔幻の花・ブルーボピー〕
81歳のとき、標高4500㍍の高地に咲く「ブルーボピー」という幻の花を見たい一心から、ヒマラヤに登り、作品に結実させている。
【堀文子】「群れない、慣れない、頼らない」_c0219232_16162819.jpg

NHK「画家・堀文子 93歳の決意」(ヒューマン・ドキュメンタリー_)
時代に流されず、お仕着せの常識や権威にくみせず、
自分自身の価値観と美意識を追求し続けてきた生き方が
今、世代を越えて多くの人々の憧憬〔しょうけい〕を集め、
孤独を恐れずに自由を求めるその言葉は、人々に勇気を与えている。

堀とは母と息子にような関係にある作家・戸井十月が
93歳の女流画家の生き方に迫る。
―――――――――――――――――――――――――――
〔職人〕私は職人だと思いますね。
認めらたいと思いますけれど、自分が気に入らなければ・・・・・・・・・・・
職人だと思います。

絵師とか絵職人から
アーテスト(芸術家)としたことで、
特別な人とみたいにみんなにちやほやされ、
本人も天才でもないのに天才ぶって、
充分通っちゃうようなああいうことがちょっとね
はずかしいことですよ!
それだけの話ですよ。

肩書きを求めず
ただ一度の一生を
美にひれ伏す
何者でもない者として
送ることを志してきた。


どうやって暮らすと西洋なんだろう!
40歳の頃、手探りで世界を放浪する旅は3年におよびました。
西洋人がああいう芸術を作ったんだろう

どんな暮らしをして、
どんな風に朝起きて掃除して
街はどうなっているんだろう。
そういうことが知りたくて、行きました。
実際を見ないと本を読んだってダメだし、
具体的に生活を見たいと思いました。
(西洋の文化、歴史、生活)

《風景は思想だ》
その国の民族の思想なんだろう!
風景は何を選んで残して、損得だけでなくて、
その大きな大木と林だけは残しておく、
できているんですよ。
日本だってそういう風景や思想が大正時代まではあった。
現代日本の思想が日本の風景になってしまった。
(世界的にそうなっていますよね)

悔しいけれど、
イタリーとかフランスとか
田園には充分に土地があるものだから
まだ頑固一徹に
昔を残していますね

そこに旧世の田園を残している。
(レオナルド・ダビンチ が丘から降りてきてもだいじょうぶ)
風景はそのものですな。
悔しいですよね


様々な国を旅して
“風景は思想だ”と
私は確信した。

風景はその国の人々が
取捨選択して作り上げた作品なのだ。

外国を旅し暮らしたことで堀さんは
日本の良さもわかりました。
日本画の表現の豊さでした。
浮世絵のあんな小さな絵で
“女の人の温かさ”“雨の降っている両国橋”なんか、
西洋では描けないです。
日本の浮世絵を日本に帰ってきて学びました。
【堀文子】「群れない、慣れない、頼らない」_c0219232_16175616.jpg

70歳で、バブル期の金の亡者と化した日本人に嫌気がさしてイタリア・トスカーナに3年、移住する。
はずかしくて、物欲に狂っていることに耐えられなかった。
女とジャーナリズムがしっかりしていれば
防げると思いましたが
でも両方が崩れましたからね。
(堀さんは売れる絵を書こうとしない、そんな堀さんにとっていごこちの悪いものであった)

(堀さんにとって旅というものは)

私は、自分の生活に慣れてくると、
飢餓感というか物が見えなくなって未知の世界に行きたくなるんです。
安心して、知ったかぶりして気が効かんというか
酸欠状態になって、感動しなくなる。
逆上するような状態を、子供の時のような状態を返ろうとする。

(人からは徒労としか見えなくても
本人には、避けることのできない旅というものがたしかにある。)

私は評価されなかったんですよ!

評価しにくいわけですよね。
類例がないこと、その都度違うことを書いているから
評価できなかった。
それは相手にされなかった訳ですよ。

(今だけこれだけのたくさんのいっているのに)
画壇とか権力のじゃない人達、無援だから
群れなくてもいい。
まったく無視されたり、
オミットされたりすることも
受け入れられようとか、
良くしていただきたいとか思っておりませんから
誰も近ずかないですよ。

(変わらない、群れないにみんな感動するんだと思いますよ)
狼のようなものを尊敬しちゃうのです。

絵描きになって名を上げたいと言うのではなく
この世の不思議をできるだけ見たい。

90になっている老いの私が
若い時の絵を見て“うまいなもんですね!”
今やろうとしたことが
構図とかいろいろな決断がすごいはね。
若さって!

今なんか うじうじ して
ちょっとうろたえました。
うまく、空間を処理していますよ。
今のもう一人の自分が見て、嫉妬しましたね!
嫉妬というか負けましたね。
脳までだめになっている。

私はどうやっているのだろう。

美術本なんか読んでないんですよ。
科学本ばかりをそんなものばかり読んでいる。

90になった、
知らないことがどんどん増えてくる。
90になって新たなミッションが増えてくる。
【堀文子】「群れない、慣れない、頼らない」_c0219232_16192680.jpg

この先 どんなことに
驚き熱中するのか
私の中の未知の何かが
芽を吹くかもしれないと

これからの初体験に期待が湧く
私にはもう 
老年に甘えている
暇などないのだ。

今、死が私の中にいるんですよ。
まざってきているんで、それを親しむ。
落ち着いてきましたね。
観念とかで考える死ではなく
腰が痛いとか
死と同居しているのだから
比較的おだやかですよ。

90才になっても
子供の頃の感動、驚き
それを失っていくのが大人になる。
私みたいに原始的な職人は、
おどろくようにびっくりするようにしていかないと、

美とはムダなこと
美とはムダなことこそ大切で
美はなくてもいいんですよ。
そういうものを求めたのは人間だけですよね!
ムダなことこそ大切でムダなこと。

効率的なこと、得なこと損得でない。
金儲けでない。

美ってなんだろう 生き生きとしていること。
生命力がある、長年なんだろうなんだろうと思ったけれど
どうも「生きていること」だと思う。

美 というものは
役に立たないように見えるが
それでいいのだと思う。

役に立ったら、欲と結びついて
美は消えてしまうだろう

美はかたちのないもので柔らかく
仰々しい姿は見せない。

では一体なんだろうと考えてみれば
永遠に輪廻する命

ということになるのだろう。

【堀文子】「群れない、慣れない、頼らない」_c0219232_16242671.jpg

(決してぶれることなく、生きている姿に心惹かれ、感動する)
天才でもない努力家でもない。
そういうものにみせられて、
そういうものにうろついている。
“ペンペン草”
でもいいから
本当の“ペンペン草”は
強いなと思います。

画家 堀文子さん(93歳)

今日も新しい作品に向かっています。
息の絶えるまで、
感動していたい!
【堀文子】「群れない、慣れない、頼らない」_c0219232_16264427.jpg


【平蔵の独り言】
何気なく見た(ほんとうは見る番組もないので、チャンネルを回したら)
再放送だとわかったが、慌てて録画し再度ゆっくりと見た。
また、素晴らしい人に出会えた。
「群れない、慣れない、頼らない」生き方
職人、風景は思想だ、

スペインの風景だけを描き続ける画家、
先日95歳でイタリアのベネチアへスケッチ旅行に行って
来春個展を開くと励んでいる「化け物ですよ」と呼んでいる画家

と話をすると楽しい(絵の心得などないのに)

「群れない、慣れない、頼らない」は難しい!

by asanogawa-garou | 2011-12-30 15:58 | 人生 まだ旅の途中 | Comments(0)