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『あ・うん』向田邦子の代表作「おとなは大事なことは、人にいわない」大事なことは心にそっとしまっておく   

2014年 01月 15日
『あ・うん』向田邦子の代表作「おとなは大事なことは、人にいわない」
大事なことは心にそっとしまっておく

「夢はみるものだなと、五十を過ぎた今、思っている。
叶わぬ夢も多いが、叶う夢もあるのである。          
                 一九八一年 初夏  向田邦子」


【向田邦子 「お気に入り」探し続けて ヒロインは強し(木内昇)】
向田ドラマが紡ぎ出す独特の世界観。
それは鮮やかに切り取られた人生の中にある一瞬のきらめき、
あるいは魂の奥底に秘められた鋭い真実、
ごく身近なようでいて実は気づかなかった心のゆらめき…。

温かく優しく懐かしい向田ドラマは、
時代を経てもなお色あせることなく、これからも愛され続けていくことだろう。
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向田邦子 「お気に入り」探し続けて ヒロインは強し(木内昇)
2013/9/1 6:30
 向田邦子の随筆に「手袋をさがす」(『夜中の薔薇』所収)という一編がある。
気に入った手袋が見つからず、
といってほどほどのもので妥協するのは嫌で、
ひと冬を手袋なしで過ごす話だ。

あるとき会社の上司に、
君のやっていることは手袋だけのことではないかもしれない、と諭される。

「男ならいい。だが女はいけない。そんなことでは女の幸せを取り逃がすよ」。
二十二歳だった彼女はハッとして、ないものねだりの高のぞみという自分の性格と向き合う。

そしてひとつの結論に至る。
ならばその嫌なところとつきあおう、
ここで妥協して手頃な手袋で我慢をしたところで、
結局は気に入らなければはめないのだ、と。
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■テレビ脚本などで活躍 
 1929~81年。実践女子専門学校卒業後、
財政文化社を経て雄鶏社に勤め「映画ストーリー」編集部に配属。
ラジオ「森繁の重役読本」で注目され、テレビへと活躍の場を広げる。
「阿修羅のごとく」「あ・うん」など名作多数。45歳のとき乳癌を患い手術。
テレビの仕事を休む間に、とはじめたエッセイ連載が高く評価され、小説も書くように。
50歳で直木賞受賞。が、その翌年、台湾旅行中に飛行機事故で逝去。

 編集者として出版社に勤め、
そのかたわらフリーライターとして原稿を書き、
会社を辞めたのちはラジオやテレビの脚本家として活躍。

さらにはエッセイや小説を手掛け、
直木賞受賞というその年譜を見ていると、
もっと面白いことはないか、
ふさわしい仕事はないかと走り続けた人生が浮かび上がる。

 サバサバとしてユーモアがあり、気さくな性格。
流行は追わないけれど自分に似合う服を仕立て、
骨董や書画を愛し、おいしいものには目がなくて、
大好きな猫と青山のマンションに暮らし、たくさんの友人に囲まれている。

料理上手のもてなし上手なのに、
部屋は少々散らかっていたり、
あれほど秀でた脚本を書くのに、
ギリギリまで仕事せず〆切に遅れがちだったりと、人間くさい愛嬌もある。

媚びはしないが、生来の茶目っ気が人を惹き付けてやまなかったのだろう。 
 豊かで楽しそうな日々。

が、先の随筆で
「四十を半ば過ぎたというのに結婚もせず、テレビ・ドラマ作家という安定性のない虚業についている私です」と書いている通り、
女ひとり、筆一本で渡っていく中には辛いこと、心細いこともあったろう。

出版社時代の同僚、上野たま子さんとの電話では、
「やはり人間は、男に働いてもらうのが一番よ」と気弱なことを漏らしている。

友人のデザイナー、植田いつ子さんとは
「女の人は年をとっていくと、いやなものがでてくる。そんなときは『おかしいよ』と互いに言い合おう」と話したという。

でも彼女は、自分の苦労を言い立てはしなかった。
あれほどの美人だから恋愛もあったろうが親しい人にも秘した。

好奇心のままにやりたいことを追いかけながらも、
自分への客観視と品格を失わなかった人なのだ。

だから周りにも細やかな気配りができたし、なにより優しかった。
 働く独身女性は、ともすれば頑なだ、ギスギスしていると、
身上に結びつけて評価されることがある。

でも私の知る限り、独身でほんわかした人もいれば、既婚子持ちで殺伐とした人もいる。
環境によって優先順位に違いの出ることはあるだろう。

が、要はその個人が自分の手に合った手袋をはめているか、
またはそれを探そうと努めているかが、
たたずまいに大きく影響する気がしている。
[日本経済新聞朝刊女性面2013年8月31日付]

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(文学周遊)向田邦子 「あ・うん」 東京・白金
おとなは、大事なことは、ひとこともしゃべらないのだ。

「さと子は、一番大事なことは、人にいわないものだということも判った」
「おとなは、大事なことはひとこともしゃべらないのだ」


この言葉は何を意味するのだろう、と再び考えてしまう。
さと子は向田邦子なのである。
秘すれば花。
大事なことは心にそっとしまっておく、
ということが、小説「あ・うん」のテーマなのだろうか。

「私はいままで夢を見ることの少ないたちであった。
 夢を見て叶えられない寂しさがおそろしかったのであろう。
 臆病であり卑怯であったと思う。」

向田邦子 『あ・うん』あとがきより


「夢はみるものだなと、五十を過ぎた今、思っている。
 叶わぬ夢も多いが、叶う夢もあるのである。          
                一九八一年 初夏  向田邦子」


【平蔵の独り言】
「おとなは、大事なことはひとこともしゃべらないのだ」
【独り言】これは口に出してはいけない。
口に出したら、気持ちが折れてしまう。
思い当たることがある。
そんな生き方の部分がある。

【平蔵の独り言】
「夢はみるものだなと、五十を過ぎた今、思っている。
 叶わぬ夢も多いが、叶う夢もあるのである。          
                一九八一年 初夏  向田邦子」
【独り言】
そうか、夢は叶わぬものが多いが、見続けるものですね。
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by asanogawa-garou | 2014-01-15 16:29 | 人間模様 | Comments(0)