〔映画・高倉健「あなたへ」〕【映画を観てもわからない人にはわからない。監督は“わからなくていい”】   

2012年 10月 19日
〔映画・高倉健「あなたへ」〕
高倉健、6年ぶり主演作「あなたへ」…旅、人思う、思われる

【映画を観てもわからない人にはわからない。
でも監督は“わからなくていい”と笑っていますよ。】

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【軽く、写真前のガラス戸を握りこぶしで叩いて「ありがとう」】

倉島が、平戸の街を歩いていて、ふと立ち止まった打ち捨てられた廃墟の様になった古い写真館のショーウインドーを眺めていて、色の褪せてしまった古い写真の中に、講堂の舞台に立って歌う女生徒の姿を見て、妻・洋子の原点とも言うべき故郷を感じて感動するシーンで【軽く、写真前のガラス戸を握りこぶしで叩いて「ありがとう」】

「ありがとう」だけだったのか?(なんと言ったか、わからなかった)
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平戸の写真館の前で、洋子の若い頃だと思われる写真を見て、
「ありがとう」
という場面がありますね。

「ありがとう」
自分の中で感じられないことって、できないよね。
心の話だからね。
そこからどんな想いへ繋がっていくかは、それぞれの人で違うでしょうし。
やっぱり自然によぎっていくものじゃないのかね。
生き方が芝居に出る。(日頃の自分の行動に出る)
自分が経験したことから思いとして出てくる言葉。

高倉健さんは語ってる。

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【薄香の郵便局で受け取った2枚目の絵手紙にはなんと書かれていたのか。】
〔絵手紙に描かれていた真っ白な伊王島灯台を訪れて、真っ青な海に向かって、
洋子の残した二通の絵手紙を空中に手放す。
2枚目の絵手紙に視線を送って、そこには一言 「さようなら」〕

局留めになっていたもう1通目を受け取って
その後、絵手紙に描かれていた真っ白な伊王島灯台を訪れて、
真っ青な海に向かって、洋子の残した二通の絵手紙を空中に手放す。
局留めになっていたもう一通の絵手紙には、白い灯台を後にして飛び立つスズメの絵をバックに、「さようなら」とだけ書かれていた。
 
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【この人を頼れば良いとメモを渡す。大浦吾郎】
母の濱崎多惠子(余貴美子)が、メモをじっと眺めている。
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イカメシ弁当の実演販売人・南原慎一から(佐藤浩市)、薄香で、散骨のために船の手配に困ったら、この人を頼れば良いとメモを渡す。
大浦吾郎と書いてある。(何故、このメモを渡したか)
倉島は薄香の港について、船の手配を頼むが、どこからも断られる。
・夕食を食べるために立ち寄った食堂で、南原から教えられた名前を言ってメモを見せると、娘・濱崎奈緒子(綾瀬はるか)がおじいちゃんだと言う。
母の濱崎多惠子(余貴美子)が、メモをじっと眺めている。
・その夜、キャンピングカーの倉島に、夕食を運んできた多惠子が、娘と許嫁の大浦卓也(三浦貴大)の写った写真を持って現れて、海で遭難死した夫が見て喜ぶであろうから、妻の散骨と同時に海に投げて欲しいと頼み、海だけに打ち込んでおれば良かったのに夢を見て手を出した仕事で失敗して死んだと夫の話をする。
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【その頂上では「天空の音楽祭」と言う催しが行われており、そこで洋子が歌っていた。】

「忘れる為にあの人の事を聞いてくれませんか?」
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倉島は、「天空の城」と呼ばれている竹田城跡を登っていた。

その頂上では「天空の音楽祭」と言う催しが行われており、そこで洋子が歌っていた。

聴衆の中に混じり、その歌を聴いていた倉島に気づいた洋子は、
歌い終わった後近づき、
「せっかく来て頂いたのに巧く歌えませんでした。」
「今日で歌う事は止めます。歌う事に嘘をついてしまいましたからと言い出す。」

大切なものって、なくしてしまってからその価値に気づくものなんです。
あの中では流れている時間が止まっています。
忘れて良いんじゃないでしょうか。
あなたの時間も止まってしまいますと倉島が話しかけると、
「忘れる為にあの人の事を聞いてくれませんか?」
と洋子は頼む。

「忘れていいんじゃないでしょうか。
あなたの時間が止まってしまいます。忘れるために話を聞いてください・・・・」

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【船頭・大浦吾郎(大滝秀治)「久しぶりに美しい海を見た」】
「久しぶりに美しい海を見た」
僕は倉島が何でこんな遠い所まで、自分でバンを運転してくるんだと思っていたけれど、大滝さんはあそこに行かなかったら感じられないものをサラッと言ってらっしゃるからね。
そういうものを、監督はいろんなところにちりばめているんです。
それは映画を観てもわからない人にはわからない。
でも監督は“わからなくていい”と笑っていますよ。
あの人は“わからなくてもいい、自分が入れたかったから入れた”という映画の撮り方ですから。
監督は、言ってもわからない奴にはわかってもらわなくてもいいということじゃないですかね。
いろんなことをいちいちわかるように説明していたら、映画なんか撮っていられない。

僕は、ばっともろに感じた。
こーっていう言い方とこの気迫で、こんなにセリフが変わってしまうんだという。
 「久しぶりに美しい海を見た」
なんてつまんねえセリフ書きやがるなとかって思ってたんだけど、
 ああ変わってしまうというのはね。
 やっぱし、びっくりしたね、僕。
 テーマですよね、この。
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大滝さんのセリフで、あの一見静かで平和そうに見える港で暮らしている漁民の人たちの悲しみと喜びというかね。
いつも美しい海じゃないんですよということを言っているわけでしょ。
もう私は長い間生きてきていっぱい見てきたということだよね。
もう、僕はやっぱり突き刺さりましたよ。
あれで英二が、ばっと心が、よし俺も共犯者になってもいいと思ったね。

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【主役を幸せにしちゃいけない】降旗監督の映画づくりの基本だそうです。
 「人は、いいことをするために、悪いこともするんです」…。
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「主役は幸せにしない」
これが、降旗監督の映画づくりの基本だそうです。
世間に負けた人、はじき出された人、そうならざるを得なかった人。
そういった人々の生き方にこそ、人間のおかしさ、美しさ、哀しさがある。

それを表現する映画が面白い。
そして監督は、こんなことも言いました。
 「人は、いいことをするために、悪いこともするんです」…。
こうした人間の切なさを描く映画が少なくなっているように感じます。
そして、切なさを感じなくなった国や人は怖いのではないでしょうか?
なぜなら、生きること自体が、とても切ないことに違いないのですから…。
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【主役を幸せにしちゃいけない】
監督には“主役を幸せにしちゃいけない”というのがあるらしいんです。
設定として主役は絶対に不幸にしなきゃいけないって。なるほどと思うんだけれど。
だから倉島も切ない設定だよね。

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【平蔵の独り言】
【映画を観てもわからない人にはわからない。
 でも監督は“わからなくていい”と笑っていますよ。】
→と、高倉健さんは言っているが
それは「あなたへ」を見る人の人生模様、心の動きで感じてください。
ということだと思う。
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【軽く、写真前のガラス戸を握りこぶしで叩いて「ありがとう」】
→映画を見ていて、なんて言ったのか。

「ありがとう」
自分の中で感じられないことって、できないよね。
心の話だからね。
やっぱり自然によぎっていくものじゃないのかね。
生き方が芝居に出る。(日頃の自分の行動に出る)
自分が経験したことから思いとして出てくる言葉。

「ありがとう」これしか、言えなかった。
心に引っ掛かっていたが、そうですね!
5年前に出た言葉は「ありがとう」、そして今も「ありがとう」
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【薄香の郵便局で受け取った2枚目の絵手紙にはなんと書かれていたのか。】
→真っ青な海に向かって、洋子の残した二通の絵手紙を空中に手放す。
2枚目の絵手紙に視線を送って見た 「さようなら」

「さようなら」
それぞれの人が感じてください。
と、言っているのですね。
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【この人を頼れば良いとメモを渡す。大浦吾郎】
母の濱崎多惠子(余貴美子)が、メモをじっと眺めている。
・その夜、キャンピングカーの倉島に、夕食を運んできた多惠子が、娘と許嫁の大浦卓也(三浦貴大)の写った写真を持って現れて、海で遭難死した夫が見て喜ぶであろうから、妻の散骨と同時に海に投げて欲しいと頼み、海だけに打ち込んでおれば良かったのに夢を見て手を出した仕事で失敗して死んだと夫の話をする。
→映画の中で、濱崎食堂の何気ない場面でひたむきに生きていくことの“切ない”を一番感じた。
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【その頂上では「天空の音楽祭」と言う催しが行われており、そこで洋子が歌っていた。】
「忘れる為にあの人の事を聞いてくれませんか?」

→・・・・・・・・・・・・・・聞いてくれませんか?
の言葉だけが残った。
映画を見ている中で“何を聞いて”だったかわからなかったが!
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【船頭・大浦吾郎(大滝秀治)「久しぶりに美しい海を見た」】
大滝さんのセリフで、あの一見静かで平和そうに見える港で暮らしている漁民の人たちの悲しみと喜びというかね。
 いつも美しい海じゃないんですよということを言っているわけでしょ。
 もう私は長い間生きてきていっぱい見てきたということだよね。

→人それぞれ、生きてきた時間の長さの分だけ、
“背中”に楽しい事もそうでないことも背負っているものと思っている。
何もない人生よりもぶつかりぶつかりの人生の方がいい人生?
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「あなたへ」大切な思い、大切な人に届いていますか。

「人生は切ない。切ないからこそ、何かに『うわっ』と感じる瞬間がある」
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by asanogawa-garou | 2012-10-19 14:11 | 人間模様 | Comments(0)