〔高倉健という生き方〕高倉は、映画を通じて「こんな生き方があってもいいのではないか。それを見せたい」   

2012年 10月 26日

〔高倉健という生き方〕高倉は、映画を通じて「こんな生き方があってもいいのではないか。それを見せたい」

高倉健さんの『プロフェッショナル仕事の流儀』
NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』(2012年09月08日放送)
高倉健インタビュースペシャル
NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』スペシャル(2012年09月10日放送)
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義理がたく、人情が厚く、筋を通すという、
高倉に対する周囲の評価は、その一面をとらえたものである。
高倉は、映画を通じて
「こんな生き方があってもいいのではないか。それを見せたい」と語っている。


高倉の演技は文字通り、魂による演技だ。
彼は演じる時、何より「自分の心によぎる本当の気持ち」を大切にするという。
心をよぎった本物は、自然とにじみ出ると信じるからだ。
最高の演技は一回しかない、
だから全身全霊で一度の本番にかけるという高倉が語る
「一度きりを、生きる」という言葉には、ずしりと重みが加わる。
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【健さんが持ち歩いている愛読書】
木村 久迩典の『男としての人生 山本周五郎のヒーローたち』が映された。

健さんは、『樅ノ木は残った』の次の箇所に赤線を引いてあり、朗読してくれる。
  火を放たれたら手で揉み消そう、
  石を投げられたら体で受けよう、
  斬られたら傷の手当をするだけ、
  --どんな場合にもかれらの挑戦に応じてはならない、
  ある限りの力で耐え忍び、耐え抜くのだ
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健さんが愛読する木村 久迩典の『男としての人生 山本周五郎のヒーローたち』
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お気に入りの本「男としての人生」には、ところどころ赤線が
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〔ベージュの革ケースに入れられた台本まで見せてくれる〕
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映画の撮影中、いつも持ち歩いていた台本に、1枚の写真を貼り付けている。
震災の残骸の中、唇をかみしめて歩く少年。新聞から切り抜いた。
「宝物です」。
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被災地を思う高倉さんは
「人生は切ない。切ないからこそ、何かに『うわっ』と感じる瞬間がある」と語る。
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【「夫婦やけんて、相手のことが、全部は分かりはしません」】
余貴美子との濱崎食堂での撮影の合間の会話も・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  余   (洋子からの絵手紙を健さんに見せながら)これだけなんて悲しいですね。
  健さん そうなんですよ。
  余    ねえ。
  健さん まだいまでも理解できないんですよ、どうしてなのか。
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【みんなおいしいことばかり言ってくるでしょう】
〔綾瀬はるかとの雑談が、面白い(実は怖い)〕
  健さん みんなおいしいことばっかり言ってくるでしょう。
  綾瀬  いや。
  健さん だんだん売れてくれば来るほど言ってくるよ。
  綾瀬  そうですか?
  健さん うん。売れるか売れないかだもん、まず。
       あなたが幸せか幸せじゃないかより、売れるか売れないかだよ。
  綾瀬  そうか。
  健さん それは、もう事実。
  綾瀬  でも仕事は人生じゃないですよね。人生?人生のひとつ?
  健さん ひとつでしょうね。難しい質問するね。えらいね。
  綾瀬  うふふふふふ。えへへへへ。それについて、たまに考えます。
  健さん セットでしゃべろう。
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孤高の俳優・高倉健、知られざる素顔!NHKが異例の特番
★大人のエンタメ 2012.09.04
 高倉がテレビ取材を受け入れたのは、
「本音のところではこう思っているんだということを、そろそろ伝えたい」
と考えたからだという。


こんなに断ってばかりいると、またこれ断ったら監督と、
もうできなくなる年齢が来てるんじゃないかなと、2人とも。
それはもう1本撮っておきたいよなっていうのが、今回の。
本音を言えばそうかもしれないよ。

〔感じたいものがあるから、立ち続ける〕
今回、81才で臨んだ映画の現場でも、
スタッフのそばにそっと立ち続ける姿が見られた。
高倉はこの理由を次のように述べている。

「居たい。そばに。なるべく居て見ていたいですね。
鳥肌が立つ思いの時ありますよ。
スタッフの、ぼくは狂気の集団と言ったけど、
本当にあの人たちの努力ですよね。
一番やってる人たちが一番お金もらってない人たちなんだよね。
おかしいんですけど。反省しますね。
本当は後ろの人たちの力なんですよね。
そういうの分かるのに何十年もかかるよね。
え~ってぞくぞくするのが。
何十年もかかりますよ。ぱっときても分からない」
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スタッフたちが駆け回るそばで、そっと立ち続ける高倉

ビートたけしさんが、
「誰もが健さんの気に入るようなことを語るし、健さんを否定するようなことがない」という

<高倉健さんの孤独>を語っていた。
その孤独に敏感に気づいて語る人は、
同じ孤独をじぶんが抱えているのではないかと思った。
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最新作でも高倉独自の芝居を見せた
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〔降旗監督の『あなたへ』、健さんに対する思い〕
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『あなたへ』降旗康男監督にインタビュー
本作で、高倉健は妻を亡くした男の味わい深い哀愁を漂わせている。
その舞台裏について、降旗監督にインタビューした。
【もしかして年をとるってことは、そういったしがらみから自分を開放していくことかもしれない】
【正確に言うと、負けた人、失敗した人の中にこそ、すっと人間の良いところが光るような気がしています】
【「映画は“てにをは”、助詞がない芸術だと思っています。
それは、映画を見た人がつけるべきだと。】


【もしかして年をとるってことは、そういったしがらみから自分を開放していくことかもしれない】
「今まで健さんが演じた役は、
いろんなしがらみを背負って、
危ない方へ行かざるを得ないという主人公が多かった。
でも、今の健さんに演じてもらうということで、
そういう荒事を取り除いていったんです。
もしかして年をとるってことは、そういったしがらみから自分を開放していくことかもしれない。
だから、そういう主人公にしました。
そういう意味では、健さんが今までにないキャラクターを演じられています」。

【正確に言うと、
負けた人、失敗した人の中にこそ、
すっと人間の良いところが光るような気がしています】

降旗監督は、映画における主人公の定義についても語ってくれた。
「映画の主人公に関して言えば、失敗した人とか、負けた人とか、そういう人を描くことで、人間の面白さや可愛らしさが出てくるんじゃないかと思っています。別に、主演俳優を不幸にしなきゃいけないってことじゃないですよ(笑)。
健さんが昔やっていたヤクザ映画だってそう。腕力ではいろんな人に勝てるけど、他では負けた人ですから。正確に言うと、負けた人、失敗した人の中にこそ、すっと人間の良いところが光るような気がしています」。

【「映画は“てにをは”、助詞がない芸術だと思っています。
それは、映画を見た人がつけるべきだと。】

監督が語る自身の映画論も実に興味深い。「映画は“てにをは”、助詞がない芸術だと思っています。それは、映画を見た人がつけるべきだと。映画のテンポをつけるために、“てにをは”を付けた映画、説明しすぎる映画が結構ありますが、映画ってそうじゃないと思う。だから、『監督のメッセージは?』と聞かれると、答えられないから、いつも困るんです。映画は論文じゃないし、一つの画をいかに高いボルテージにするかということが一番大切。四角いスクリーンに一杯詰まっていればそれで良しです」。
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大滝秀治さんを評する81歳の高倉健さん。
「俳優として、大変怖い人ですね」高倉健さんを評する87歳の大滝秀治さん。
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【平蔵の独り言】
高倉健さんの『プロフェッショナル仕事の流儀』を見て
205作目になるという「あなたへ / 降旗康男」
「仲代達矢」『春との旅』以来、久しぶりに映画を見に行った
「あなたへ」の映画を見ていて、?????
小説化されているのを知って読んだが、?????はそのままだった。
文字にすると、観ている時に感じた思いがほとんど感じられない。
【映画を観てもわからない人にはわからない。でも監督は“わからなくていい”と笑っていますよ。】
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〔健さんが持ち歩いている愛読書〕
「男としての人生」(1982年 グラフ社)が紹介されていたが、
『男としての人生 山本周五郎のヒーローたち』(2010年7月 グラフ社)に、改題されて読んでいる。
・山本周五郎の小説に対する思い
市井の中に生き生きとした人間像を描く
慎ましく生きて来た人達が一番えらい!
市井の人が一番えらい(高倉健〔あなたへ〕)
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〔降旗監督の『あなたへ』、健さんに対する思い〕
【もしかして年をとるってことは、そういったしがらみから自分を開放していくことかもしれない】
【正確に言うと、負けた人、失敗した人の中にこそ、すっと人間の良いところが光るような気がしています】
【「映画は“てにをは”、助詞がない芸術だと思っています。それは、映画を見た人がつけるべきだと。】
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「俳優として、大変怖い人ですね」高倉健さんを評する87歳の大滝秀治さん。
大滝秀治さんが亡くなった
 「普通」が一番難しい
小林政広監督の「春との旅」(2010年)で仲代達矢と共演。
年老いた男(仲代)が孫娘と、面倒を見てくれる所を探す話だが、冷たくあしらう兄の役を好演した。
・大滝秀治さんが亡くなった。『あなたへ』を置いて、「春との旅」にも出ていた!
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【「夫婦やけんて、相手のことが、全部は分かりはしません」】
そうですね!5年経っても、知りたいことがまだ出てくる。
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by asanogawa-garou | 2012-10-26 16:43 | 人間模様 | Comments(0)