(五木寛之)【深夜、つくづく思うこと】低気圧と片頭痛・物忘れがひどい・はかなくもしぶとい   

2014年 11月 04日
(五木寛之)【深夜、つくづく思うこと】低気圧と片頭痛・物忘れがひどい・はかなくもしぶとい
生き抜くヒント!(五木寛之) 週刊新潮2014/10/30号

【深夜、つくづく思うこと】
〔低気圧と片頭痛〕「このところ生活習慣をきちんとしているせいか、・・・・・」
〔物忘れがひどい〕ボケるいうのも、一種のフォーカスの技法なのだ。
〔はかなくもしぶとい〕はかなくもあり、しぶとくもあるこの命。


<よくがんばってるなあ>と、思わずつぶやく。
これだけ無駄遣いしてきて、
なお働いてくれている体の各部に対して、
畏敬と感謝の念をおぼえずにいられないのだ。

明日のことはわからない。
しかし、今日、いまこうして生きていることがありがたいのである。

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【深夜、つくづく思うこと】
なにが丈夫ったって、人間の体ほど丈夫なものはない。
最近、つくづくそう思うようになった。
心臓ひとつとってみてもそうである。
何十年どころか、ときには百年以上も、一瞬も休まず働き続けているのだ。
まあ、あれこれ故障するときもあるとはいえ、とりあえず丈夫である。

〔低気圧と片頭痛〕「このところ生活習慣をきちんとしているせいか、・・・・・」
年をとって、良かったこともいくつかある。
ひとつは動脈硬化がすすんで、血管が過敏でなくなったことだ。
以前は低気圧がやってくるたびに血管が拡張したり収縮したりして、そのつど片頭痛がおきて大変だった。

最近、たて続けに台風がくる。気圧の乱高下もはげしい。
かっては新聞の天気図とにらめっこしながら、一喜一憂したものだった。
高気圧から低気圧に変わる直前から、頭が割れるように痛みはじめるのである。
最近はそれがない。

「このところ生活習慣をきちんとしているせいか、
血管性の片頭痛に悩まされることがなくなりました」と、
先日、知人の医師にいったら、
「それは年をとって血管が硬化したせいでしょう」
と、あっさり断定されてしまって心なきもの、それは医師である。


〔物忘れがひどい〕ボケるいうのも、一種のフォーカスの技法なのだ。
物忘れがひどい。
いわゆる短期記憶というやつはそこそこであるが、
昔のことがどんどん記憶から遠ざかっていく。
それも大事なことは忘れて、どうでもいいことは細部まで憶えているのが癪の種。

しかし、これもいい面がないでもないような気がする。
ありとあらゆる世間のことを、頭一杯につめこんでいたら、
夜もぐっすり眠れないのではないか。

ボケるいうのも、一種のフォーカスの技法なのだ。
昔のことを何から何まではっきり憶えていたなら、
夜は眠れないにちがいない。

〔はかなくもしぶとい〕はかなくもあり、しぶとくもあるこの命。
全身にガタがきているとはいえ、
これだけ使ってまだなんとか役にたっているというのは、
奇跡というしかないだろう。

もちろん、あちこちに不具合いは生じている。
ちゃんと検査を受ければ、即入院ということになるかもしれない。

それでもこうして息をして、自分の脚で歩いている。
虫の声もきこえる。
文庫本も読むことができる。
自分の歯でものを噛むことも、自分の耳で深夜ラジオをきくこともできる。

ありがたい、と思うのは当然だが、
それより先は、人間の体というものの丈夫さにあらためて驚く。

それと同時に、転倒や誤嚥や、
ちょっとしたことで失われる命のはかなさをも痛感する。

はかなくもあり、しぶとくもあるこの命。
深夜、つくづくと自分の手をみたり、足の裏を観察したりする。
啄木のような人生に対する深い感慨はない。

<よくがんばってるなあ>と、思わずつぶやく。
これだけ無駄遣いしてきて、
なお働いてくれている体の各部に対して、
畏敬と感謝の念をおぼえずにいられないのだ。

明日のことはわからない。
しかし、今日、いまこうして生きていることがありがたいのである。


【平蔵の独り言】
低気圧と片頭痛・物忘れがひどい・はかなくもしぶとい

【独り言】
片頭痛に長年悩まされ、
雨になるのは天気予報より当たる。
など、自身で諦めてきた。

先日、痴呆の検査を受けろ!
と言われて、腹を立てながら受けたが
長年診てもらっている“脳神経外科”の主治医を訪ねたら
「まだ、働いているんだろう? あはははは・・・・・」

明日のことはわからない。
しかし、今日、いまこうして生きていることがありがたいのである。

ですね!

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by asanogawa-garou | 2014-11-04 16:22 | 人生 まだ旅の途中 | Comments(0)